懲戒処分とは
懲戒処分とは、従業員として果たすべき義務や規律に違反した者に対する制裁のことです。
懲戒事由としては、犯罪行為、職場規律違反、経歴詐称、業務命令違反、機密漏洩・営業上の秘密漏洩、背信行為などがあります。
懲戒処分となった場合、下される処分の内容は一つではなく、事由の重さによって変わります。
懲戒処分の種類
懲戒処分の種類は全部で7つあり、処分の重さは以下昇順です。
- 訓戒
- 譴責(けんせき)
- 減給
- 出勤停止
- 降格
- 諭旨(ゆし)解雇
- 懲戒解雇
訓戒
懲戒処分の中で一番軽い処分で、口頭または文書によって厳重注意をします。
譴責(けんせき)
始末書を提出させます。
自身の行為について謝罪の意思を表明させ、それにより本人に反省を促します。
減給
給与を減額します。
ただし、減額できる限度額は法的な定めがあり、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならず、また賃金総額の10%迄でなければなりません。
出勤停止
定められた期間の間、出社・就労することを禁じます。
その間の賃金は、会社が支払わなければならない等の法律はないので一般的には無給とします。
出勤停止期間についても法律上の制限はないものの、常識的な範囲に留めるよう一定の制限がなされています。一般的には1~2週間です。
降格
社内での役職・地位を下げます。
降格により一般的には給与が下がることになりますが、2つのパターンがあります。
役職付の場合、例えば部長から課長に降職させ、役職手当を少なくすることで、給与支給額を減らします。
役職がない場合、給与等級を下げる=基本給を下げることができます。
降格処分とは、字のとおり格を下げる事で給料を下げる事が主旨ではありません。
従って、法律による減給額の上限等はありません。
ただ、この処分を実施する際は本人の承諾が必要であり、就業規則にも労働条件の変更を伴うことがある旨の記載が必要です。
諭旨解雇
会社側と従業員側で話し合いを行い、両者が納得したうえで解雇を受け入れてもらいます。
懲戒解雇相当の処分でありながら、従業員に退職金が支給されるなど、従業員側の不利益が軽減される温情処分です。
諭旨解雇とよく似た「諭旨退職」もありますが、こちらは諭旨解雇より軽くで、自ら退職するように理由を諭して辞表の提出を促し、依願退職した形を認める処分です。
懲戒解雇
懲戒処分の中では一番重く、よほど特別な事由がないと会社は従業員に対して懲戒解雇を実施することができません。
普通解雇の場合、会社は30日前に解雇予告を出さなければなりませんが、懲戒解雇の場合は解雇予告なしで即時解雇ができます。
また、退職金は支払われないことが一般的です。
懲戒は就業規則に記載必須
(労働基準法第89条)民間企業において使用者が懲戒を行うためには、あらかじめ就業規則にその種類・程度を記載し、当該就業規則に定める手続きを経て行わなければならない。
(労働基準法第106条)就業規則は労働者に周知させておかなければならない。
これらの手続きに瑕疵があると、たとえ労働者に懲戒に該当するような非行があったとしても、処分自体が無効とされることもあります。
懲戒の内容をどのようなものにするかは公序良俗に反しない限り会社の任意ではありますが、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は無効となります。
新入社員のナツです!労務や経理のことなどを更新します🖊
コメント