マンション管理適正化法72条(重要事項の説明等)

マンション管理適正化法72条(重要事項の説明等)

マンション管理適正化法72条の条文です。

  1. マンション管理業者は、管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約(新たに建設されたマンションの当該建設工事の完了の日から国土交通省令で定める期間を経過する日までの間に契約期間が満了するものを除く。以下「管理受託契約」という。)を締結しようとするとき(次項に規定するときを除く。)は、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより説明会を開催し、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等に対し、管理業務主任者をして、管理受託契約の内容及びその履行に関する事項であって国土交通省令で定めるもの(以下「重要事項」という。)について説明をさせなければならない。この場合において、マンション管理業者は、当該説明会の日の一週間前までに、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等の全員に対し、重要事項並びに説明会の日時及び場所を記載した書面を交付しなければならない。

  2. マンション管理業者は、従前の管理受託契約と同一の条件で管理組合との管理受託契約を更新しようとするときは、あらかじめ、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等全員に対し、重要事項を記載した書面を交付しなければならない。

  3. 前項の場合において当該管理組合に管理者等が置かれているときは、マンション管理業者は、当該管理者等に対し、管理業務主任者をして、重要事項について、これを記載した書面を交付して説明をさせなければならない。

  4. 管理業務主任者は、第1項又は前項の説明をするときは、説明の相手方に対し、管理業務主任者証を提示しなければならない。

  5. マンション管理業者は、第1項から第3項までの規定により交付すべき書面を作成するときは、管理業務主任者をして、当該書面に記名押印させなければならない。

通常、重要事項説明の案内が開催されてから、管理委託契約の更新の議案、という流れになります。これは当たり前ですが、契約内容が変わるから説明が開催されてから更新の議決をとるとわけです。

管理委託契約の内容が変更されるケース

マンション管理組合と管理会社との管理委託契約の内容が変更される場合(同一条件ではない更新)、管理会社は「重要事項説明会」を開催する必要があります。※マンションによって説明会のタイトルは多少変わります

通常フローとしては以下になります。

  1. 契約更新の申し入れ(管理会社または管理組合どちらかから)
  2. 重要事項説明会開催
  3. 管理委託契約の更新の議案(総会決議事項)

これは管理会社との契約内容が変更されるからであり、重要事項説明会開催が必要になります。但し、契約内容に変更がない年は重要事項説明会を開催する必要はありません。

同一条件ではない更新とは

簡単に言うと管理費が上がったりする場合です。ざっくりと具体的なケースを書いてみました。

  • 重要事項説明書の文言の変更など
  • 管理委託業務費が上がる場合
  • 管理費の支払い時期が当月払いから前払いに変わる
  • 従前の管理委託契約より契約期間を長くする

重要事項説明書に以下のような記載があります。管理会社によっては多少文言は異なります。

この文章で判断することが出来ます。

説明に係る契約の態様 意味
契約更新(契約条件同一) 同一条件の更新
更新(同一条件である場合) 同一条件の更新
契約更新(契約条件変更) 同一条件ではない更新
更新(同一条件でない場合) 同一条件ではない更新

管理組合が不利にならない契約の場合は「同一条件」とみなされる場合がある

同一条件ではない更新でも管理組合が不利にならない契約の場合は「同一条件」とみなされる場合があります。

  • 管理会社の商号・名称・登録番号・登録年月日の変更
  • 管理委託契約と業務内容・実施方法は同一であるが、委託業務費を減額する場合
  • 従前の管理委託契約に比べ業務内容・実施方法の範囲を拡大するが、業務委託費を据え置くが減額する場合
  • 従前の委託契約より、委託契約日の支払時期を後に変更
    (前払いを当月払いもしくは後払い、または当月払いを後払い)する場合
  • 従前の管理委託契約より、更新後の契約期間を短縮する場合
    管理委託契約の対象となるマンションの所在地の名称が変更される場合

時系列の注意点

ここで注意しないといけない点があります。フローが以下の時です。

  1. 管理委託契約の更新の議案(総会決議事項)
  2. 重要事項説明会開催(契約更新の申し入れ)

マンション管理適正化法72条では、議案と重要事項説明の案内は時系列で逆転していても違法ではありません!※ここが重要

時系列についてはマンション適正化法では規制がありません。

契約の内容が変わっているのにも関わらず契約を更新してから、契約内容の変更部分を後日説明することは普通のビジネスではあり得ないフローです。

ですが、こういう事をするマンション管理会社が事実存在します。但しマンション管理適正化法違反とはなりませんのでご注意ください。

こういったフローの管理会社は、管理会社とのフロー見直しを求めたり、管理会社変更を検討したほうが良いかもしれません。

同一条件ではない更新の場合、組合員(区分所有者)全員に説明が必要

例えば、01/15に重要事項説明会開催の場合、中7日空けて、01/07までに組合員全員に重要事項を配布する必要があります。

これを理事会だけに配布していたりした場合、マンション管理適正化法違反となります。

同一条件ではない更新の場合、マンションのわかりやすい場所に掲示が必要

重要事項説明の配布と同様に中7日空けてマンションのわかりやすいところに重要事項説明開催の掲示をする必要があります。

これを怠ればマンション管理適正化法違反となります。

予算案審議=管理委託契約の更新のケース

通常総会において予算案審議を管理委託契約更新と同義とする、と言った悪質な管理会社が一部ですが存在します。

通常は予算案とは別に管理委託契約更新の議案を設けます。

知らず知らずのうちに契約を更新していた、なんていうことになりかねませんが、このような事案もマンション管理適正化法違反とはなりません。

マンションに関するご相談は管轄の国土交通省整備局に電話されることをお勧めします。マンション管理適正化法違反の場合はエビデンスがあれば、(処分の結果は教えてくれませんが)管理会社に対して聞き取り、指導などはしてくれます。

国土交通省 近畿整備局

弊社が告発したケース

弊社が近畿整備局に告発したケースでは、管理会社よりマンションの管理員室に重要事項説明書が郵送され、その後、管理員が各住戸に直接投函するといったフローでした。

この際、弊社が所有するマンションの一室に重要事項説明書が配布されておらず、重要事項説明会開催6か前ほどに管理員より直接頂いたケースがあります。本来重要書類は特定記録などで送付するべきですのでこれは違反に該当します。

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